大切な方が無くなったあと、不動産登記の変更(所有権移転登記)や、銀行・証券会社の口座廃止・名義変更の手続きが必要になります。
今までは、手続きをする銀行・証券会社・法務局ごとに、相続人であることを証明するために戸籍謄本の束を用意する必要がありましたが、「法定相続証明制度」という制度があります。
「法定相続証明制度」の概略
この「法定相続証明制度」とは、法定相続情報一覧図(相続人の一覧表)を作成して、戸籍謄本の束と共に法務局(登記所)にもって行けば、「法定相続情報一覧図の写し」という法務局がお墨付きをしてくれた書類を、必要な部数を無料で交付してくれて、これを銀行・証券会社にもって行くと相続手続きができるというものです。
要は、戸籍謄本の束の代わりとなるものを作成して、それを法務局がお墨付きを与えてくれるというものです。
流れとして、下記となります。
1.必要書類の作成
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2.法定相続情報一覧図の作成
↓
3.申出書を記入して登記所へ提出
↓
4.法定相続情報一覧図の写しを交付
この制度の特徴
この制度は法務局に手続きする際の手数料は無く、無料で利用できます。ただし、戸籍謄本などの取得手数料は各市町村に支払う必要があります。
また、提出した戸籍謄本は返却してもらえます。
提出した法定相続情報一覧表は法務局で5年間保存され、その間は再交付が可能となっています。
手続きする場所もいくつか選択肢があり、利便性が考慮されています。
制度の趣旨として、相続手続きが煩雑なために所在不明の空家が増加している現状を改善するためのもので、相続手続きを簡便になるように設計されています。
必要書類
手続きにあたって必要な書類は、
●亡くなられた方の戸籍謄本(出生から亡くなるまでの戸籍謄本・除籍謄本)
●亡くなられた方の住民票の除票
●相続人全員の戸籍謄本
●申出人(法務局に出向く方)の氏名・住所を確認できる公的書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)のコピー
法定相続情報一覧表
亡くなられた方を中心として、相続人(法定相続人)の方の関係がわかる図面として、家系図みたいな形で作成します。
手続きをする法務局
提出する法務局は、手続きをする場合の利便性を考慮して、いくつか選択肢があります。
●亡くなられた方の本籍地
●亡くなられた方の最後の住所地
●申出人(手続きをする方)の住所地
●亡くなられた方が所有している不動産の所在地
最後に
相続手続きは煩雑で、相続手続きがなわれていない状況を改善しようという政府の解決策の一つとなります。
戸籍謄本・除籍謄本を揃えなければいけないのは現在とは変わりませんが、団塊の世代の高齢化を迎えて、相続手続きは少しずつ簡便な方向に向かっているようです。